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本当はメモをする場所

的外れなことを言っているのかもしれないけど

書こうか書くまいか迷ったけど、もやもやしたので書きます。同じく絵を描く立場から気になったこと。

ITは、いま:「ニコニコ動画で、出口が見付かった」 絵描き兼開発者・24歳 (1/2) - ITmedia NEWS

この記事を初めて読んだ時、すごい!うらやましい!という気持ちと一緒に、どうしても拭いきれない違和感が残りました。まず気になったのが「誰かに見てもらおうという発想はなかった。」というところ。でもそれ以外にも何か引っかかる物があったので*1何度か読み直したんですが、毎回ここがひっかかる。

「ソフトは誰かの役に立つ可能性があるから、公開する意味があると思っていたけれど、絵では生活は便利にならない。絵を描きたい人はいくらでもいて、供給過剰だと思ってた」

ITは、いま:「ニコニコ動画で、出口が見付かった」 絵描き兼開発者・24歳 (1/2) - ITmedia NEWS

実用的で且つお金も発生したソフトの制作・公開と絵を描くことを平行にやっていたからこそ、このようなことをお考えになったのかもしれません。そして今ではこのようにお考えではないのでしょうが、それでもこの部分を読んで絵を描く人間として心底悲しくなりました。正直に言えば、私はこの部分を読んで絵を描くことを下に見られたようでかなり腹が立ちました。絵を描くのが好きなのに、なんでこんなことを言うんだろう。むしろこんなこと絶対言わないで欲しいです。他の絵を描いている人のためにも。

私は自分の絵を公開することが誰かの役に立つとか、公開する意味があるかとかそんなことはほとんど考えていません。むしろ私の絵を公開したところで誰の役にも立たないし、公開しても何の意味も生み出さないと思います。ぶっちゃけ無駄にサーバーの容量を削るだけです。昔からデッザンが出来ないのも絵が下手なのも変わりません。でも私は「絵を描くのが好きだから」このように絵を公開しています。

だいたい絵を公開することって「役に立つ」とか「意味がある」とか、そういう尺度ではかるものなのでしょうか。ゆきさんが絵を公開することをこのような理由もあって避けていたというのならば、それはとても残念なことです。実際ニコニコ動画で絵を公開してとても好評なのですから、非常にもったいない。

ゆきさんがニコニコ動画に出会えたことは本当に良かったと思います。でもイラストやクリエーターの検索サイトに登録してみるとか、ちょっとでもアクションを起こしていれば、ニコニコ動画以前に「出口」を見つけられたかもしれませんよね。現にソフトをVectorに公開したら少なからず反応があったわけですし、何もしないで反応が得られるなんてそんなことほとんどないのですから。私が常に絵を人に見せたいなーって思っていて、とっくに出口も見つけているからこんなことを考えるのかな。

それから私はイラストを描く人が供給過多とも思っていません。もちろん絵を描いてる人も絵がうまい人も星の数ほどいますし、その方達の描くすべての絵に需要があるのかどうかもわかりません。でも絵を描くことって自己表現ですよね。上手いとか下手とか、需要があるとか無いとかあまり関係ないと思うのです。アマチュアで絵を描いている分には「絵を描くのが好き」それだけで十分意味があると私は思います。もちろんプロとして活躍していこうと思っていたり、金銭が発生する場合はお話がちょっと違ってきますよ。

もう一つ、ただ作るのが楽しかったから公開しなかったみたいなことも書いてありますが、本当に人に見せたくならなかったのかな?私は常に見せることを意識してきたんで*2、この感覚がわかりかねますねえ。せっかく時間をかけて作った作品だもの、描いたー!満足!で完結したらもったいないって思うのだけどなあ。*3

結局私がつまらないところでプリプリ怒ってるだけなんですが、どうしてもこのことを言いたかったのです。一人の絵を描く人として。

ちょっとだけ追記しますね。

「絵を下に見られたような気がした」と書いたのは、「私の中で」絵を描くことの重要さがたまたま上位にあったからで、実際に絵を描く行為が上とか下とかそういう意味ではありません。気持ちが前に出過ぎました。それぐらい、私は絵を描くことを重要視していたから気になったんだ、という風にご理解いただければ幸いです。

私が絵を描く理由は、絵を描くのが好きなのと「描きたいものがあるから」です。たとえばPerfumeのライブを見て、たとえばハルヒの小説を読んで、思った・感じたことを絵にしています。逆に描きたいと思わなければ全く描かないので、実際Perfumeハルヒの絵を描く以前2年近く絵を描いていません。「自己表現」と書いたのもそのせいで、これも「私にとっては」と付けるべきでした。

確かに「絵を描く作業自体が楽しい」「絵を見せたくない」という方もいらっしゃいますものね。私自身が「絵を描く作業自体が楽しい」「絵を見せたくない」と思わず絵を描いてきたもので、その部分が抜けておりました。

件の一文を読んで思ったことの一つとして、この文を受けて絵を公開するのをやめる人がいたりしないかなというのがありました。成功体験談なので、さすがにこれはないだろうなと思ったのではじめ書きませんでしたが、一応書いておきます。

「絵では生活は便利にならない」「供給過剰」てことは、実は絵を描く本人が一番わかっていることです。ただ私は絵を描くたくさんの人がこのような理由で、自身が描いている物を無用だとか無駄だとか思ってほしくないなと思って、今回のような文章を書かせていただきました。

*1:ブクマで「もやもやする…。」と書いたのはそのため。

*2:ちっさいころから絵を描くたびに家族に見せたり友達と見せあったりしているし、同人活動もしたし、ネットが繋がってからはサイトやブログを公開したりしてます。

*3:まあ時に酷く叩かれたりすることもあるといえばあるので、一概に良いとはいいきれないところもありますが…。