映画「涼宮ハルヒの消失」
映画「涼宮ハルヒの消失」観てきました。
さんざん観るのが辛いなどと書いてきましたが、結果的には観てよかったと思います。私にとって消失が辛い話である事に変わりはないのだけど、最後にホッとしました。
原作を読んだ身としては、本当に原作通りにやってくれていてよかったし、多少付け足しもありましたけど、それもよい結果に繋がったなと思います。あと聖地巡礼したので出てくる場所が大体分かって楽しかった。
時間が長いのでこれから見に行く人は空腹とかトイレとか注意したほうがいいです。というか鑑賞中に飲み物飲まないほうがいいかもしれないってぐらい長い。
以下ネタバレの感想ですが、相変わらず古泉のことばっか書いてます。しかもすっごい長いよ!消失は長門メインの話なのにおかしいな!
古泉の「あのセリフ」
色々な所で消失の感想を読んだのですが、古泉の「あのセリフ」に言及している方があまりいらっしゃらなかったのでその話。
多分多くの皆さんは消失を見たあとに「長門…!」って思うのだろうけど、私はあのセリフのおかげで「古泉…!」って思わざるを得ませんでした。いつも言ってんじゃんとは言わないお約束…。
この手の話は原作が出た時点で飽きるほど語られてるところだと思いますので詳しくは書きませんけど、「消失」は恋愛がらみのアレコレがある話で、本当に乱暴に言ってしまうとハルヒキョン長門古泉の四角関係みたいになってる。*1
とはいえ消失原作では古泉がハルヒを好きっていうのはそんなに描写がなくて、「僕は涼宮さんが好きなんです」発言とか、北高に忍び込むのに体操着を使うという案を思いついたハルヒにキョンが「お前らしいよ」って言うところでムッて顔するところとか、そんなとこでしょうか。*2
というわけで消失の映画も長門メインの話だし、古泉はそんなに目立たないだろうなあと思ってたのです。
ところが映画公開前に読んだ雑誌インタビューで古泉も感情描写があるよというような発言が何度かあって、実際映画を見たら原作にないシーンが追加されていて、古泉が原作以上に切なすぎました。やってくれたな京アニ。
そのシーンは、キョンハルヒ古泉が喫茶店*3を出て古泉とキョンの二人で話をしているところで、キョンが自分には何の属性もないけどハルヒのそばにいたという話のあとに、古泉がそっぽを向いたまま電車の通過音にまぎれてぽそりと「羨ましいですね」と言うところ。
「羨ましいですね」て!!!
こんなに直接的な言葉が出るとは全く思ってませんでした。やーもうこれで消失古泉がハルヒ好きってわかっちゃったもの。
しかもこのセリフを言った後、振り返ると笑顔で。
その前のシーンで平気でキョンに「僕は涼宮さんの事が好き」と言ったり(このセリフを言った時点で、改変世界の古泉はこんなことさらっと言えちゃう子なのかよと軽くショックである)、でも「転校生って理由だけでしゃべるようになったから最近飽きられてる」とかも言っちゃってるので切なさ倍増ですよ…だから消失苦手なんだよ…好きなキャラが辛そうなのは見るの嫌だよ…。
エンドレスエイト#2の感想で私は
「憂鬱VI」で古泉がキョンに「あなたは涼宮さんに選ばれたんですよ」と言ってますが、古泉は「ハルヒに能力は与えられたけどハルヒに選ばれていな」くて、そのかわり「ハルヒに能力は与えられなかったけどハルヒに選ばれた」のがキョン。そして最終的にハルヒを動かす事が出来るのもキョンの方。
などと書いているのですが、これは消失古泉も同じなんだよなあ。一番ハルヒの近くにいるけど、選ばれてない。ただ一緒にいるだけ。中学時代にばっさばっさと「彼氏」を切ってきたハルヒが、転校してきてから*412月中旬まで古泉を引き連れてるというのは、ある意味気に入られてるということでもあるんだろうけど、そこに恋愛的な意味は含まれてないと思う。
だから古泉も一緒にいられて嬉しいとかそんなのんきな事思ってないはずですよ。いつ飽きられるかわからないから必死なはず。
そういう状況でハルヒがキョンと出会い、そして自分は選ばれてないとわかってしまった(又は今まで分からない振りをしてた)古泉からポロッとこぼれたのがこの「羨ましいですね」というセリフなのでしょう、きっと。
そしてこのセリフが、キョンが消失世界から3年前の七夕にタイムスリップする時、SOS団皆の声のいろいろな声が聞こてくる中、一番最後に今度ははっきりと聴こえるように入ってる。
このセリフが最後の最後に出てくるってことは、キョンにもこのセリフは印象的だったということなのでしょうか。「涼宮さんが好き」という直接的な言葉よりも印象深い「羨ましいですね」というセリフ。キョンはあのセリフをどう受け止めたんだろう。わかってると思うけどさ。わからないというのならキョンは古泉に一発殴られるべきだ。
ちなみにハルヒとキョンが出会ってからの古泉の表情がくるくる変わるところは微笑ましかったです。原作だと結構敵意むき出しの嫌なやつという印象だったんだけど、映画のほうはそんなところはあまりなくて、ずっとハルヒだけを追っかけてるような感じだった。ハルヒに話しかけてキョンから必死に引き離そうとするところとか、かわいいなあ。涼宮さん涼宮さん言い過ぎだし、本当古泉はハルヒ好きすぎるだろ。
だからこそその後の「羨ましいですね」が切ない。
でも最後の病室でのシーンで現実世界の古泉が言った「いえ、あなたを羨ましく思っているだけです」というのを聞いたら、妙にホッとしました。「ああこっちの子は大丈夫だ」って思った。この辺りは私の妄想が一番暴走しているとこなので詳しくは語るつもりはありませんが、消失古泉のような嫉妬とあきらめを含んだ「羨ましい」じゃなくて、いつものハルキョンをからかう古泉の言い方だったので、少なくともこの子は消失古泉みたいな思いはしてないんだろうと思った。いや、してるのかもしれないけど、その気持ちにちゃんと折り合いとつけてるんだな、この子は自分でそう決めたんだろうなって、なんかぼんやりとそう思いました。
いつだって古泉はハルヒが笑ってれば幸せそうだ。偽善でもなんでもなくて、ハルヒが幸せであってほしいっていうのは彼の純粋な願いなんだと思う。ハルヒとキョンのやりとりを見てる古泉が「まーた始まった」みたいな笑顔だったのがよかったです。
帰宅してパンフレットを読んだら古泉役の声優の小野さんも「羨ましいですね」が一番印象的だって書いてくれていて、とても嬉しくなりました。
ちなみに私は古泉とハルヒが仲良ければいい人なので*5、改変世界の古泉切ないなとは思いましたが、現実世界でどういう感情を抱いていようと好きにすればと思うし、古泉の恋心報われろとか古泉ふられてかわいそうとかは思いません。私は色々な意味で一生古泉はハルヒに片思いしててほしいし、ずーっとあこがれの存在だったらいいなーと思う。まあ現実世界の古泉がたとえハルヒに恋心を抱いていたとしても、彼の立場とその立場をわきまえている彼自身がそれを許さないでしょう。そういう意味で現実世界の古泉も苦労人と言うか切ないというか…。
もし長門が古泉のハルヒに対する恋心みたいなものを感じ取ってあの二人を同じ学校にしたのだとしたら、それは残酷ですよね。「何でも知ってるけど何もわかってない」のが長門のいいところであり、私もそんな長門が好きなんだけど。
最後の最後におかしなことを書くけれど、長門と古泉はすごく対照的で、でも似た者同士だと思いました。長門好きで古泉嫌いな人ごめんなさい。でも似てると思うんですよあの二人。
その他の感想
あのセリフ以外を「その他」としてまとめていいんだろうか…という疑問がありますが。
- 消失のくせに長門の事を全然書いていないのは、消失長門が好きじゃないからです…本当にごめんなさい…。
- 仲良しSOS団はかわいいなあ、と改めて思う。
- 古泉は長門の変化に気づいてるって話がちゃんと出て嬉しいです。うふふえへへ。
- ハルヒにクリスマスの予定を訪ねられた古泉の受け答えが気持ち悪かった。嫌いじゃないです。
- キョンがおかしな子のようであり、しかしかっこ良くもある。それが消失。
- みくるちゃん・鶴屋さんに拒否されるシーン、胸がぎゅーっとなるわ。絵になったらもっと辛かったわ。
- 朝比奈さん(大)の追加されたセリフ「いつかあなたも高校生活を懐かしく思う日が来ます」、高校を遥か昔に卒業した私には重いお話でした。色々考えてしまうセリフです。
- 朝倉さんがかわいくてかっこよくて凶悪で素敵でした。
- リンゴのシーンよかったー!やはり消失の古泉って言ったらリンゴですね!!
消失で投げっぱなしのところもわかるようになるし、消失のあとがSOS団の本領発揮なので陰謀やってくれないかな。そして陰謀をやるためには雪山症候群と朝比奈みくるの憂鬱をやる必要がありますのでそれも必ず。まー本音を言うと私が雪山見たいってだけです。