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本当はメモをする場所

Perfumeワンマンライブ『ディスコ!ディスコ!ディスコ!』記念前夜祭 非公式ファントークイベント@阿佐ヶ谷ロフトA

Perfume初期の作詞家・木の子さんがゲストで出るというので行ってきました。
チケットなどなどid:tomocoさんに大変お世話になりました。ありがとうございました!

イベントは2部構成になっていて、1部ではロマンポルシェ。の掟さんとダイノジの大谷さんがPerfumeについていろいろと話をするもの、2部で木の子さんを交えてトーク、というものでした。

個人的に木の子先生目当てで言ったので木の子先生の事しか書きません。掟さん大谷さんごめんなさい。
正直なんかもう胸一杯であんまり話の内容とか覚えてないんですけどがんばります….


このエントリーでは主に歌詞の解釈について書いています。
歌詞以外のアレコレはid:aerodynamikさんのレポをどうぞ。

初期Perfumeを支えた作詞家「木の子」 スペシャトークイベントまとめ - Aerodynamik - 航空力学
http://d.hatena.ne.jp/aerodynamik/20090509/p1

登場前の1部で掟さんと大谷さんが「木の子さんすごく緊張していた」「(登場時のツカミの話を何にするかみたいな話をしているのを聞いて)これがネタあわせなんですね!と言ってた」とかいう話を聞き、俄然期待が高まる。

予定より30分ぐらい押して第2部スタート。木の子先生は見た目も中身もとてもかわいらしい方でした!私はずっとかわいいかわいいと言ってました!やっぱ木の子だな!

木の子先生はこんな格好していらした。左胸に物販で販売していた特製バッジをつけていました。

歌詞について

木の子歌詞は「痛い」とか「暗い」という印象があるという質問に対して、自分としては「ネガティブポジティブ」で書いている、との回答。
手前味噌で恐縮ですが、私が以前書いた「木の子先生のはなし」っていうエントリーでの「後ろ向きポジティブ」の話と大体同じような事をおっしゃっていたので、こちらをあわせて読んでいただければと思います。

木の子先生のおはなし
http://d.hatena.ne.jp/meeeres/20080430/1209493161

木の子先生はメモ魔だそうで、歌詞は普段の生活の中でぼんやりと思った事をどんどんメモしてその蓄積で出来ているそうです。例えば「スウィートドーナッツ」は電子レンジを使っていて「他のものも暖められないのかな」と思ったことからきてる。
ただし歌詞を前面に押し出すのではなく、歌詞を書く時は曲を聞いてそのメロディにあう歌詞を書く。「ああこういう歌詞にしてほしいんだな」というのを感じるそうなので、歌詞を書くのならメロディがいい人に書きたいとおっしゃっていました。あとヤスタカがPerfumeアイドル歌謡のような曲を書かなかったように、木の子先生もPerfumeがアイドルだからとアイドル歌謡のような歌詞を書く気はまったくなかったと。基本的に好きに書いているそうです。

女の子の一人称の歌詞ばかりなのは、やはりご自身の体験や考えに基づくものだから。「だって人間って自己中心的に考えるじゃないですか」
失恋など辛い内容の歌が多いので失恋ばっかりなの?とツッコまれていましたが、そういうわけではなく、たとえ誰かと付き合って幸せな状態にあっても色々と考えてしまうような、基本的にネガティブな嗜好の持ち主なので、あのような歌詞ができるとか。


Perfumeに渡す歌詞にはAメロBメロなどの表記の他に、曲にまつわるメモや指示も書いてあるそうです。例えば「Perfume」の場合、

  • 「アコード」というのは「香りの調和」という意味
  • 「トップノート」「ミドルノート」「ラストノート」というのは香水用語で時間の経過ごとの香りのことだけど、あまり気にしなくていい。
  • 譜割りをどうするか。「♪S極とN極のようにね」の「ようにね」は、「(よう)(にね)」と歌うのではなく、「(よ)(お)(に)(ね)」と1つ1つ歌うように。

…とか書いてあるらしい。
初期の初期は木の子先生が仮歌を吹き込んでいたらしいのでこういう指示はなく、後半は仮歌の歌い方を聴き慣れてしまうのも良くないので、仮歌の代わりにこういったメモ書きをつけていたみたいです。

ちなみに「Perfume」はあ〜ちゃんのリクエストで作られた「ライブの時に盛り上がれるPerfumeのテーマ曲」。



用意していたご本人の歌詞メモなどを見ながら、1曲1曲解説をしてくれましたので、その辺りをまとめようと思います。

モノクロームエフェクト

上京した時の気持ちを書いた曲。初めてPerfumeに書いた曲でもある。

都会の星は 少ないんじゃなく 雲に埋もれて ズル ズル スベル

というのは、実家では見える星が都会では見えないけど排気ガスや雲に隠れているだけなんだなー、都会にはそういう人がたくさんいるんだろうなーという考えからきているらしいです。これについては「私今すごくいいこと言いましたよね!!」などともおっしゃってました。いい事言っております。

コンピュータードライビング

「コンピュータードライビング」だけタイトルと歌詞の内容が剥離しているような気がする、という質問に対して。
現状では失恋して上手く行っていないけど、頭の中の想像では地上戦を想定して上手く行く方法をシミュレートしているよというのを「コンピュータードライビング」という言葉にこめたそうです。

あとこれは完全に失恋した後の歌で、失恋した相手に八つ当たりをしてるような部分もあると。

キャンセル待ちを したって
あの子の次じゃ 意味なんて無いじゃない

というのは「あの子」に対するものではなくて、失恋した相手に対するものだそうです。私の考えははずれてたなー。

ちなみに「パッパッパッパッパッパッPerfume」のインタビューで「コンピュータードライビング」が一番好きとおっしゃっていましたが、今でもこの曲が一番好きだそうです。

イミテーションワールド

好きだった人から「好きな人が出来た」と言われた時の、恋人になれない、でも友達として繋がっていたい、というどっち付かずな状態の曲。中学生ぐらいの時に思っていた事を歌詞にしたらしい。どんな中学生ですか。

シートベルト閉め すぐ私指定席に座る

は文字通り車の助手席なり何なりに座る訳ではなく、好きな人の「いい友達」という「指定席」に自ら座って、更にシートベルトで縛り付けてるというような意味があるそうです。
深いよ…。

カウンターアトラクション

発注時は「ポジティブな曲」という指定できたもの。
歌詞を見た先生曰く「自分としてはとてもポジティブだと思うんですけど…」と言っていて、見せてもらった歌詞のテキストファイルにも確かに「今回『ポジティブ』って言われたのでポジティブにしてみました。どうかな??」って書いてありましたが…いえ、全然ポジティブじゃないです!むしろ恨み節です!だがそれがいい

「カウンターアトラクション」というのは「対抗する魅力」みたいな意味。
振られた相手に対して「あんたなんかに負けない魅力をつけて対抗してやる!」とかいう気持ちを持ちつつも、やっぱり悲しくて泣いて過ごして顔が腫れちゃって、でもああ学校/会社行かないとなあー生きていかないとなーという歌。「前に進まないと」という思いがあるので「ポジティブ」な曲なんですね。

ビタミンドロップ

発表当時ファンから「Perfumeにこんな歌歌わせんな!」とネットで書かれていたとか。

伝説のスタフィー」 のCM曲になるとはじめから言われていたので、「ビタミンドロップ」という言葉が多い歌詞に「ビタミンドロップの歌じゃないんで変えて」と文句がついた。でも「ビタミンドロップはビタミンドロップだもん!」と変えたくなくて、最終的に一番最後だけ「ナキムシドロップ」にすることで決着がついたとのこと。

「言葉の暴力」という歌詞からも伺える事ですが、「ビタミンドロップ」というのもそのまんまの意味ではなく「人の話した言葉」という意味があるよう。人の話した何気ない言葉に傷ついたり、でも逆に元気を貰ったりするよね(=心のサプリメント)ということらしい。それを前提に考えると

秘密も ちょっぴり こぼれた

とか

飲み込む すっぱい 痛みも

という部分の意味がすんなり入ってくるな、と思いました。あーこれは人と話していて感じた言葉のことなのかと。

シークレットメッセージ

歌詞についてほとんど覚えてないらしい。
「人間消えたら 地球痛むの?」というのは、交差点を歩いていてふと思った事だそう。大谷さんが「これってフリーザの考え方ですよね」と言っていてとても笑った。

その他木の子先生情報と迷言集

  • ご本人曰く「自分は本気で夢を見ている現実主義者」。
    • 掟さんは木の子歌詞について「メンヘルメルヘン」と言っていた。「付き合うとめんどくさそう」とか。
  • 友達に「きのっぴ」って呼ばれてる。きのっぴ!きのっぴかわいいよきのっぴ!
  • 武道館はゲスト席に申し訳程度に作った席で見た。
  • 武道館の時に「木の子さんですよね?」と話しかけられて「違います』と答えた。
  • 今年の花見で「Perfumeって知ってる? 私好きなんだー」と言われて「知らないなぁ」と答えた。
  • 原宿でcapsuleのポスターを見たのでヤスタカにメールしたけど返事なかった。
  • あまりテレビは見ない。音楽もほとんど聴かない。Perfumeの曲もほとんど知らない。
    • 「あ、でも今日来る前にベスト盤を聴いたんですよ!」「…今日?」
    • 「ベスト盤を聴いてたら『ファンデーション』が流れたんです!」「いや、ここにいる人たちはかなり聴いてると思いますよ…?」
  • ヤスタカとPerfumeは天上人
  • 「冷蔵庫に納豆入っていますか?」という質問に対して、「今は冷蔵庫に納豆入ってません」

話を聞いていてやっぱり私木の子歌詞好き!と思いました。あと「イミテーションワールド」と「カウンターアトラクション」の話をしてくれたのがすごく嬉しかった!この2曲が音源化しないのは木の子先生になんか理由があるのかなあと漠然と思っていたのですが、ご本人はPerfumeの歌詞以外にはノータッチのようだったので、なんか別のところに理由がありそう。音源化してください。音源化してください。大切な事なので2回言いました。

個人的には「リニアモーターガール」の話が聞きたかった。3部作で唯一木の子作詞で、そこからどう「コンピューターシティ」と「エレクトロワールド」に繋がったのがか気になる。「近未来的」というコンセプトありきで書いたものなのか、それとも「リニアモーターガール」を元にしてヤスタカが勝手に3部作にしたのか。
あと入場時に配布されたコースターに「うずまきみるく」という歌詞(?)の一部が書いてありまして、トークでもテキストが用意されていたようなのですが、これは一体なんなんでしょう。誰も知らない幻の未発表曲?



オマケ。
木の子先生に頂いたサインとTシャツについていたバッジ。サインのとなりのキノコは「ベニテングダケ*1描いてください!」とお願いしたら描いてくれました。毒!

*1:木の子先生が好きなキノコとして以前答えていたもの。